Fullness:the quality or state of being full
我々ヒトを含めた生物は、刻々と変化する内的状態(身体、生理、精神状況など)、環境や刺激に適応することによって生存しています。
そして、この適応の根源にあるのは、Fullnessであると考えています。「Fullness」、欲求と言い換えても良いかもしれません。例えば「睡眠欲」。眠らずに起きていれば、睡眠欲は高まります。イメージとしてはコップ。睡眠とラベルされたコップがあるとすれば、その中を満たしているものがなくなれば、そのコップを満たそうとします。
もちろんコップは比喩ですが、生物は、生存欲求とラベルされた大きなコップの中に、大小様々なコップをもっていて、必要に応じてそのコップを満たそうとします。行動や生理反応を通じて。これらのコップは独立して存在するのではなく、それぞれが影響し合い、大きさやそれを満たす液量を決めています。
私達は、こうしたコップが満たされるメカニズム、つまり、様々な生命活動の根源であるFullnessの正体やそのメカニズムを、中枢神経系を中心として明らかにしたいと考えています。
研究内容
食べること、食欲の神経メカニズムに関しては、分子から神経回路レベルまで、詳細な研究が行われてきています。一方、食欲が低下した状態である食欲不振に関しては、その神経メカニズムはほとんど明らかにされていません。そこで私達は、食欲不振の神経メカニズムを分子レベルから神経回路レベルまで、包括的に理解することを目的として研究を行っています。
そのために、分子レベルの理解においては、神経活動のON-OFFの遷移を脳全体で可視化することができる技術を基盤とし、食欲不振の前後における遺伝子発現の変化を高い時空間解像度で明らかにしようとしています。
神経回路レベルの理解においては、脳−臓器連関および心身の状態をモニターする脳領域に着目し、これらの脳領域で内臓不調に関わる情報処理を行う神経細胞を特異的に標識・操作し、内臓不調によって引き起こされる食欲不振の神経回路の解明に挑んでいます。
睡眠研究に関しては、食が睡眠に及ぼす影響に着目した研究を行っています。食後の眠気は頻繁に経験することですが、そのメカニズムは明らかにされていません。そこで私達は、食後の眠気の神経メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行っています。
舌の味蕾で受容された味覚情報は、脳幹、視床、大脳皮質および大脳辺縁系からなる基本的な脳内味覚伝導路によって伝達、処理されます。味覚の情報処理システムは可変的であり、こころの状態、からだの状態(生理状態など)、年齢、病気などの内的要因や、生活環境、文化などの外的要因によって変化します。
しかし、こうした味覚の変化が、味覚の情報処理システムを構成する「識別」、「認知」、「価値判断」、「想起」のうち、どのレベルのどのような(神経回路、神経活動、遺伝子発現など)変化に起因するのか、その詳細は明らかにされていません。私達は、味覚の脳内情報処理システムの変化のメカニズムを理解するような研究を行っています。
メンバー

